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オーケー、ボーイズ&ガールズ

人生最大の虚無に打つ手がなくぬるくなった風呂に浸かり続けている。

足を組んだ形のセクシーな大根がニュースに取り上げられたりして、それをそれたらしめる2つの要因が予知能力のある私を私たらしめる、同じ構造だと思った。 伝達ミスはそれによって意図的に引き起こされているのかもしれない。もしくは伝達に欠陥を持つもの…

3/2

本当に話したいことなんてもうないのかもしれないと思う。みんなそうなのかもしれない。自分が本当に話したいことがあるような気がして、それが何かわからないから他愛のないことを話しまくって、なんだか足りないような気がして、また別の友だちを捕まえて…

2/20

あれが桜の木、日本人は桜好きでしょ? 空港を出てすぐ、スモモみたいな色の小さな花をたくさんつけた木を指差してヴァネッサはそう言ったけど、どう見ても桜じゃなかった。私の知ってる桜はもっと薄くて淡い色の、形のきれいな花をつける木だった。高校のラ…

2/17

地下牢の鍵穴から長いこと、向こうの景色を眺めている。そうしていると世界は鍵穴の形で、その外側は鉛で埋め尽くされているように思える。僕がここから覗くから、世界は美しいのかもしれない。 全身鏡に不発の肉塊を映して不快になる。こんなものを引き摺り…

12/3

駅前の、廃墟になって久しい、かつてデパートだった建物の西口に、段ボールと新聞紙が1人の人間の生活の形に落ち着いている。 僕もこんな素敵な廃墟の一角に住みたい。 黄色のハイヒールに黒いベレー帽の女が、ライムのコロンとくるみボタンのコートが、ラル…

11/1

昨日の夜、初めてニューシネマパラダイスを観た。 僕は映画はあまり詳しくない。僕の友だちと比べたらね。みんないつもお酒を飲むと映画の話ばかりする。その時の顔、本当は好きなんだけど、誰にも伝えたことはない。僕は少ししかわからないから、ただ笑って…

8/16 青さの臨界点

僕の先生は、青春の終わりを、その瞬間に気づくことの出来たとても珍しい人間です。 先生は僕たちも好きなあの、たった3時間で読めてしまう本を読み終わった時、蛇口にしがみ付いていた水滴が落っこちるように、何かが決定的に変わってしまったことを知った…

4/9

お店に地球の生き残りの人間たちが来て、外は荒廃した夜。ユーミンを流して「懐かしいなぁ」なんて言ってる。冷凍庫の奥底に眠っていたバターを溶かしてクッキーを焼いた。生き残りの人間たちに配る。ほのかに甘くてうまい。もしかして本当の世界の終末もこ…

凪の生活

(3/6) 当たり前に眠れない。明日はどうせ今日の続きに過ぎないのに。いつだって。何も劇的に変わらないのに。僕は僕のまま、時間が過ぎていくだけなのに。 中学生の頃、伊坂幸太郎の陽気なギャングシリーズを読んでからずっと喫茶店の店長になりたいと思って…

3/2

読んでくれてありがとう。今日は野良猫をよく見かける日だった。君はどう。悪くないといいなと思うよ。よくなくってもさ。 僕はこの頃無性に腹が減って、デブの金魚みたいに延々と飯を食う日と、まるで死にかけの子ヤギみたいに水さえ飲むのが億劫な日を交互…

死人に梔子

深い孤独を感じるのはやはり、誰とも分かり合えないのだと確信めいた仮説がやってくるとき。 君は悪くない。僕の人格が、言葉が、いつだって悪い。どうやったら伝えられるのか、この核心にどんな言葉がひっかかってくれるのか、皆目見当がつかないことがある…

11/20 花に嵐の花

僕の中にある確固たる美しさが、全ての邪魔をする。人間活動のあらゆる面で邪魔をする。美しさは完全完璧であるべきだ。そうじゃなくちゃ、美しくない。不完全なものは完璧な不完全をもっていなければならない。不安定なものは不安定なまま、儚いものは必ず…

11/16 パンドラの箱

これから空もどんどん重くのしかかってきて挙句僕らの身体を芯まで冷やす雪を降らせるつもり。 生活が停滞して僕たちは些細な鬱憤をそっとなすりつけ合う。それこそ雪のように僕たちの無気力が音もなく積もり続ける。 続く日常にささやかな楽しみを見つけ、…

9/4 恋をすることについて幻想

一番重要なのは、劇的じゃない瞬間。劇的じゃない瞬間の中でも、悲しみというにはまだ冷え切らず、憂鬱というにはもう深過ぎる、得体の知れない重い霧のような、やり切れない気持ちがただ、冬の曇った夜のようにのしかかって、朝が来るなんてまるで信じられ…

6/15 木馬の騎手

僕たちがまだひとりで生きていくことができてもひとりきりでは生きていくことが許されなかった頃、身体の大きさに対し世界の大きさが比例して成長することなく、木靴の中で行き場なく回り込む指の痛みの全てが、世に語られる希望と言うものだったと気付くの…

5/26

かなり参っていた。昨日は自転車を漕ぐのも億劫で、15分前に家を出たにもかかわらず遅刻しそうになった。土から立ち上る蒸気は夏の匂いをはらんでいて胸が痛んだ。 僕は実は君のことなど、君たちのことなどちっとも好きじゃない。君と同じようにね。 うまく…

5/3

野暮な看板は朽ちて記憶の景色となり、鶏頭、百日草、古い墓。掻き分けて進むと空き地。 鳥もいない。虫もいない。乾いた土。掘り起こせば湿っている。ここに住むことのできるやつはいない。1人もいない。 ナイター中継とエアコンのカビ臭さ、沸き立つ杉林の…

5/3 草の戸

僕は僕の町を離れるときは必ず、あたかも最初からそこになどいなかったかのように、静かに、散歩にでも行くような気持ちで出て行く。この町を出て行くときもそうした。実際なんの気持ちも沸かない。僕はどこにいても僕であり続け、僕のいない町も変わり続け…

AM11:00のテレビニュース

夜の地下鉄は水っぽい空気の中で、先頭車両に乗っている僕たちはホームの灯りが見えるまで暗いトンネルに映る自分たちの顔を眺めている。僕たちは明治の前の元号が江戸だと思っていたが、調べてみると慶応だった。ずっと前は、綺麗な雲が現れたから、白い亀…

3/31

いつも昨日の記憶がない。友だちが東京へ帰るのが泣くほど嫌だったのに、あれは僕だったろうか?僕の頭に根を張った不細工な広葉樹が僕の良い全てを吸い尽くして、また空へ近づこうとしている。いつか肉も血も骨も、全部奪われるんだろう。残念だな。さよな…

2/9

いつでもなんでもできると思っていたけれど、どうもそうじゃないらしい。若くなくなって気がつくことのひとつかもしれない。 冷蔵庫に卵と牛乳、砂糖があってもミルクセーキを作らないのと同じ。そして君はミルクセーキを作らずに人生を終える。そういうこと…

12/26

今すぐに魔法の絨毯が飛んできて君を夜の果てまで連れて行ってくれたらいいのにね。多分肺が凍るくらい冷たい空気が君の頭をスッキリさせて、いつもよりずっと星が眩しく見えて、この退屈な出口のない日々の何かを、あるいは全てを変えてくれるよ。 とはいえ…

12/22

僕が牛乳を飲んでいると飼い猫が物欲しそうな顔をして寄ってくるので、水で薄めた牛乳をあげた。二舐めして、もうたくさんとでも言いたげに口の周りを舐め、毛づくろいをした。 そんなことばかりだ。 俺は世の中のことを大体わかっているというような顔の毛…

12/15

昨日忘年会を兼ねた女子会に参加させてもらった。みんなかわいくて、洋服なんかはふわふわであんずジャムのような匂いがして、とてもいい気分だった。 彼女たちの話す言葉はラムネ菓子みたいに口の中で溶けて、僕はなんだか頭の中にピンクの霧がかかったよう…

12/5 It’s Only A Paper Moon

生まれた町へ帰るときは、国道13号線に乗る。もちろん出るときもだ。 僕の通った高校はその国道沿いにあり、道路に沿うように長い廊下で図書室と音楽室を繋いでいる。僕は何度も、ひとりでその廊下を行き来した。何度も。 この町を出てどこかへ行きたいとき…

11/4.5

僕は描き終えた絵を捨てる習性がある。 どんなにうまく描けたってそうだ。作った曲のギターコードもすぐに忘れてしまう。僕にとってそれらはどうでもいいものだ。何度も言うけれど、僕には今日しかない。今日要らないものは明日も要らない。 だけど君は違う…

11/4

引越しをすることになった。 この街には6年くらい住んだ。 僕が特に気に入っているのは、近所に暮らしている足の悪い老人と、太ったビーグル犬だ。 彼らはお互いを想い合って歩くのでとても遅い。 時々太ったビーグル犬が一人きりで散歩に出ている。いつもは…

10/7

世界の終わりのあと、僕は電話ボックスにいる。 ウェルベックの『ある島の可能性』という本の一文なんだけど、かなりキレてる文章だと思う。さいこーにイカしてる。ヤバイよね。 いい歌書いてるシンガーとか、夜明けにそんな気分になったりするんだろうと思…

8/7

最近は色んなことを色んな人がいるな、で済ませているのでどんどんバカになっている感じがする。バカになっているせいか、何を見ても面白いし、気に入らないことがあまりない。このままシンクの水垢や猫のクソにも感動できるようになりたい。 昨日見たテレビ…