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夏の前の雨の匂い

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世の中のたえて桜のなかりせば

春の心はのどかからまし

 

僕にも色々悩みがあるけど、友だちに相談したりしない。僕の悩みは僕だけのものでいい。だから時々どうしようもない日々が続く。どうしようもない日々が続くと、死ねば楽になるような考えが浮かぶ。でも僕は実際、死んだことはないからそれが楽かどうかは知らない。

 

最近素敵な子たちに会った。僕は素敵だと思うものが多い方がいい。彼らもそうだから好きだ。だけど僕の友だちたちが浮かれちゃって先輩風を吹かせて少し恥ずかしい。そんな友だちのことも可愛くて好きだ。姉に子どもが産まれて、写真が送られてくる。姉によく似ていて、小さくてとても可愛い。一日中眠る猫が暖かい。桜にあたる雨が美しい。土の匂いが若く、湿った光が透かす街は夢のように優しい。僕が死ななきゃならない理由が1つもない。

 

僕には好きな曲は沢山あるけど、去年から「悩み事はレモンドロップのように溶けて」という歌詞がとてもいいなと思っている。over the rainbowの歌詞。オズの魔法使いのストーリーって素晴らしいよね。僕は悩み事が悩み事のまま僕の何かをダメにしたり悪くしてしまうことが幸いにもなかった。もしかして口の中で溶けて飲み込んだのかもしれない。誰にも語らず、身体のどこかで何かになっているのかもね。僕は酒も飲めないし、擁護のしようもないくらいインドアだし、これと言った発散方法は特にないけど、これからもうまく付き合っていきたいと思う。

 

これからはもっといろんな人と会話したい。相槌じゃなくて、話せたらいいなと思う。たとえば温水プールみたいな夜の話とか、ナイター中継とメンソールの話とか、踏切とチェックのマフラーの話とか、年相応の手袋とセーターの話とか。水頭症の男は少し休んでもらって、もうトイトイも春子さんも出番が減るといい。僕の悩みは僕だけのものだ。桜がなかったら春の心はどんなにのどかかって、死んだらどんなに楽かって考えるのに似てる。僕はレモンドロップの味を散る桜のように名残惜しみながらのみ下すことに何も感じなくなったりしない。