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天網恢恢

5/20 犬の話

 

「メスの犬はシナモンロールが好きか」と砂糖の研究をしている博士に尋ねたところ、それは解明されていない、と博士は首を横に振った。

 

ロシアの宇宙基地はいつも捨て犬募集の張り紙があり、表向きはクドリャフカに次ぐ宇宙犬の育成であるが、本当のところは違う。

捨て犬たちは基地に着いてすぐ風呂に入れられ、美味しいビーツを見分けられるかどうかの試験を受ける。美味しいビーツが見分けられる犬はそのままキッチンで働き、そうでない犬は超能力開発チームに送られる。超能力開発チームでは人間の超能力を引き出すためにあらゆる実験が行われているが、その中の1つ「ワンちゃん がぶり」の仕事に就く。高い台の上に置かれた美味しいおやつを手を使わず念力でワンちゃんに与えるという実験である。これは以前行われていた「テーブルの上のボールを念力で転がす」という方法よりも2.7倍の成果を出している。

 

犬と猿を仲良くさせるために必要なことは、全く新しい物語である。

 

小学校の近くの新聞屋で飼われていたマルコという名前の犬が死んだ時、クラスの全員でマルコに向けて慈しみ溢れる寄せ書きを書いた。臭くて痩せた犬だったが、目のキラキラした可愛いヤツだった。新聞屋のオヤジに寄せ書きを渡すと、ウチの犬は幸せもんだなと言った。同行した教師が「みんな本当にマルコちゃんのこと好きでした」としんみりした声で言うと、オヤジは「犬に玉ねぎ食わせちゃダメだって、学校じゃ習わねぇもんな」と言ってドアを閉めた。沈黙。何気なく振り返ると表札に「内藤隆二」に並んで「丸子」と表記されている。あぁオヤジがマルコって呼んでたの、奥さんか。犬の名前じゃなかったんだ。