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オーケー、ボーイズ&ガールズ

2018-01-01から1年間の記事一覧

12/26

今すぐに魔法の絨毯が飛んできて君を夜の果てまで連れて行ってくれたらいいのにね。多分肺が凍るくらい冷たい空気が君の頭をスッキリさせて、いつもよりずっと星が眩しく見えて、この退屈な出口のない日々の何かを、あるいは全てを変えてくれるよ。 とはいえ…

12/22

僕が牛乳を飲んでいると飼い猫が物欲しそうな顔をして寄ってくるので、水で薄めた牛乳をあげた。二舐めして、もうたくさんとでも言いたげに口の周りを舐め、毛づくろいをした。 そんなことばかりだ。 俺は世の中のことを大体わかっているというような顔の毛…

12/15

昨日忘年会を兼ねた女子会に参加させてもらった。みんなかわいくて、洋服なんかはふわふわであんずジャムのような匂いがして、とてもいい気分だった。 彼女たちの話す言葉はラムネ菓子みたいに口の中で溶けて、僕はなんだか頭の中にピンクの霧がかかったよう…

12/5 It’s Only A Paper Moon

生まれた町へ帰るときは、国道13号線に乗る。もちろん出るときもだ。 僕の通った高校はその国道沿いにあり、道路に沿うように長い廊下で図書室と音楽室を繋いでいる。僕は何度も、ひとりでその廊下を行き来した。何度も。 この町を出てどこかへ行きたいとき…

11/4.5

僕は描き終えた絵を捨てる習性がある。 どんなにうまく描けたってそうだ。作った曲のギターコードもすぐに忘れてしまう。僕にとってそれらはどうでもいいものだ。何度も言うけれど、僕には今日しかない。今日要らないものは明日も要らない。 だけど君は違う…

11/4

引越しをすることになった。 この街には6年くらい住んだ。 僕が特に気に入っているのは、近所に暮らしている足の悪い老人と、太ったビーグル犬だ。 彼らはお互いを想い合って歩くのでとても遅い。 時々太ったビーグル犬が一人きりで散歩に出ている。いつもは…

10/7

世界の終わりのあと、僕は電話ボックスにいる。 ウェルベックの『ある島の可能性』という本の一文なんだけど、かなりキレてる文章だと思う。さいこーにイカしてる。ヤバイよね。 いい歌書いてるシンガーとか、夜明けにそんな気分になったりするんだろうと思…

8/7

最近は色んなことを色んな人がいるな、で済ませているのでどんどんバカになっている感じがする。バカになっているせいか、何を見ても面白いし、気に入らないことがあまりない。このままシンクの水垢や猫のクソにも感動できるようになりたい。 昨日見たテレビ…

7/2

長い間土の中にいた僕らの友だちが初めて話す声を、今日僕は聞いたけど、それよりも1日早く僕たちは夏をやったので得意な気分になった。 昨日、友だちが運転する車の窓から夏に咲く花が見えた。僕が、好きな花だ、と言ったら二人は「タチアオイ?」と声を揃…

6/12

また扁桃炎になってる。扁桃炎になる度僕は死ぬことを身近に感じて憂鬱になる。 最近、二枚の同じ皿の上にそれぞれ、石鹸とカシミヤの靴下を乗せてとやかく言うヤツが多過ぎる。そもそもどっちも食えない。どっちもグレープフルーツ風味の醤油ソースなんか合…

5/22

僕は割り算が出来なかった。何度説明されてもまるで意味がわからなかった。特に「割られる数の中に割る数が何個くらい入るか」という予測が出来なかった。その文章の意味さえよくわからない。実際今もよくわからない。 そもそも1+1もわからなかった。でもそ…

5/1

僕は誰かの夢の話を聴くのがとても好きだ。 好きなものの話を聴くのも好きだけれど、それは気をつけないといけないことがたくさんある。好きな気持ちに優劣をつけるのはアホらしいという意見もあるけれど僕は、もしも誰かが何かをうんと好きな時、それについ…

4/21

薬局にいる化粧の濃い白衣の人に声をかけられてへどもどする。これなんか結構人気のファンデで肌に乗せるとパウダーになるんですよ、重ねても厚ぼったくないしこの下地と合わせると化粧崩れしにくくて、オススメですねー… 彼女は僕の知らないことをたくさん…

4/16 珈琲とずれた時計の直し方について

僕は、喫茶店には必ずどの席からでも見えるように時計が置いてあるべきだと思っている。どんな時計でも構わないけれど、出来たら壁掛けの時計で2分くらい遅れているといい。 なぜなら喫茶店という場所は時間を忘れて過ごすためにあるのではなく、ずれた時間…

4/7

世の中のたえて桜のなかりせば 春の心はのどかからまし 僕にも色々悩みがあるけど、友だちに相談したりしない。僕の悩みは僕だけのものでいい。だから時々どうしようもない日々が続く。どうしようもない日々が続くと、死ねば楽になるような考えが浮かぶ。で…

3/18 この街の神話について

この街の素晴らしいところは、アダムとイヴより先にオールド・ワイズマンがいたこと。彼はまずどんな季節でも良い詩が浮かぶように、真っ直ぐな並木道を作った。彼はそこを何度も往復することで素晴らしい詩をいくつも書き、詩はその並木に様々な価値を与え…

3/5

僕には夜中だけ話す水頭症の男がいる。 彼は夜の間ならいつでも話すことができる。しかし話すと言っても、大体は彼の独壇場である。彼の頭に血を運ぶのは人工パイプで、更に彼はシンセンショウという病気のせいで右腕が年中子猫のように震えている。 彼が信…

3/1 魚釣りとケルアック

去年の3月末、釣りに行った。 釣りなんかしたことがなかったけど、泊まっていた旅館のパンフレットに『3/29 釣り堀オープン』とあったので、チェクアウトした足で釣り堀へ向かった。生憎雪で、道は悪く、着いた先は河原の湿った茶色い林だった。 受付のおっ…

2/22 海について

七日町交差点の角にあるミスタードーナツで、ランボーの『地獄の季節』を知った。僕はハニーディップと無限におかわりができる薄いコーヒーを頼んで、通りが見える席に座る。 あの可愛い小さい街は特に夏が良かった。祭りがあって、僕らはまだ小さい猫も連れ…

2/11

2010年、名古屋の山崎川にスナメリが迷い込んだというニュースをブラウン管のテレビで見た。その年は、タイで反政府デモの弾圧があり、国軍が参加者を銃で打ったり、尖閣諸島で中国船と日本の巡視船が衝突し大きな抗議のデモがあった。 僕はみんなが強く思う…

2/6

数学者が数字を信頼するように僕はフィクションを信じている。 妙なリアリストに会う。彼らはどうしてか政治家を目の敵にしている。僕にはわからない話だから、やはり穴のように黙って文章を吸い込むしかない。彼らが語るべき相手はどう間違っても僕ではない…