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オーケー、ボーイズ&ガールズ

2017-01-01から1年間の記事一覧

12/26

僕は言葉を覚えるのが遅かったけれど、6つの頃ピアノの椅子から転げ落ちて、頭を打ってから堰を切ったようにお喋りになった。 僕の喋りたいことは正しく機能する言葉で、順番に並べることができたし、うまく伝わらないときは上手なたとえ話をすることも出来…

12/17

上司がポケベルの話をしてくれた。閉塞的で親密なコミュニケーションツールだった。彼女たちだけが分かる暗号で、熱心に少しの言葉を伝え合う。すごく素敵だ。 まがいなりにも音楽をやって、色んな人に会った。家のないフォークシンガーとか薬中のパンクロッ…

3/6 惨めな日のこと

言い慣れた言葉が出てこない。正確には、あらゆるタイミングで白々しく響く予感が結末まで教えてくれていたので口にするのが憚られる。馬鹿じゃないそれくらいわかる。だけど伝えるべきことはそれ以外になかったと思う。彼が同じように、その状況を防ぐため…

2/27

足の悪い老人が、昼過ぎに太ったビーグル犬を散歩させている。 子供の描いたようなデタラメな絵がプリントされた安いナイロンのアウターを着た少女が、120フィルムのプラスチック製カメラを構えて冴えない音のシャッターを切った。キッチュ・キッズはここ最…

2/24

映画や小説、演説や音楽に僕たちが見てるのは結局のところ「嘘つきかどうか」で、内容も何も本当のところで重くない。「正解かどうか」ももちろん関係ない。創った人が本当のことを言っているかどうかだ。どんなに無様でも本当のことを言った人の方が、隅々…

2/20先日の悲しい日のこと

安いぼろアパートに住んでいる。湿気がひどいこと以外特に不満はない。むしろ良いところがある。駅から近い。それに夜景が見える。 夜景はキレイという感じじゃない。ここは山を切り拓いた住宅街で坂が多く、細い道路に沿って家々が密集しているので実に生活…

2/19

突然心を鷲掴みにする何か、法則性の無い何か、これまで偶然発見出来ただけで、これからはどうかわからないことが不安だ。それは人生に意味とか喜びをもたらしてくれることもあったし、今もただ風に弄ばれるボロ切れのように引っかかりなびくだけで、何も与…

2/5 やもめの手袋

月の映らない窓に帰るまで、実に様々な出来事があった。紫色のニットのワンピースは裾がほつれて袖も伸びきってしまったし、小屋に住み着いたネコが三匹も子供を産んで、立葵が群生していた西の踏切は綺麗にコンクリートが敷かれた。真新しい不必要な駐車場…