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オーケー、ボーイズ&ガールズ

11/16 パンドラの箱

 

これから空もどんどん重くのしかかってきて挙句僕らの身体を芯まで冷やす雪を降らせるつもり。

生活が停滞して僕たちは些細な鬱憤をそっとなすりつけ合う。それこそ雪のように僕たちの無気力が音もなく積もり続ける。

続く日常にささやかな楽しみを見つけ、痛む身体と力なく老いていく脳に暫し健やかな麻酔。アニメの最新話、中国のぶっ飛びSF、新作のゲーム…

あなたたちに呆れられるいわれがない。僕たちは僕たちで、必死に小さな希望を紡いで今日も死なずになんとかやっている。来ないかもしれない春を夢見ずに黙って生きている分、褒められてもいいくらいだ。

僕なんか窓際の、1000円で買ったささくれた鍵もないチェストに通帳を放り込んでるよ。取られたってなんにも構わないんだ。悪い考えをする人たちが僕から奪えるものなど1つもない。ひとつもないんだよ。

それなのに僕は損ない続ける。自分をちぎって何かに変え、それで「文化的な人間らしい最低限の生活」をやる。やり続ける。沸き続ける泉の水が濁る。息が苦しくなる。

先日雨が降って、自転車に乗れないからイヤホンをつけて音楽を聴きながら帰った。iPhoneを新しくして初めて音楽を聴いた。音が良くて、とても嬉しくて夜道1人で大笑いした。なんて素晴らしい曲!なんて素晴らしい音!ここにはスコールさえもない…

 

なくなった。激しさがなにも。なにも激しくない。怒りも悲しみも喜びもただしんみりやってくる。母親がかけ直す毛布のように。

けれども僕は手に入れた。悪い人には、誰にも奪われないもの。それでまた魂を食い繋いでいく。