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オーケー、ボーイズ&ガールズ

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いつも昨日の記憶がない。友だちが東京へ帰るのが泣くほど嫌だったのに、あれは僕だったろうか?僕の頭に根を張った不細工な広葉樹が僕の良い全てを吸い尽くして、また空へ近づこうとしている。いつか肉も血も骨も、全部奪われるんだろう。残念だな。さよなら。

とはいえ僕はみおちゃんのことが好きだ。

みおちゃんだけじゃない。君のこともとても好きだ。冗談みたいにね。僕は2頭身のガキのころからずっと、性質としてのチャーミングを持ち合わせている。馬鹿な柴犬だから、自分がノミだらけでひどい臭いだってことにも気づかないで、ただ君たちが好きだ。迷惑かけないようにするよ、ごめんね。

時々惨めな生き物だなと鏡を見て思うけれど、そんなの誰でもおんなじだ。万華鏡の中で一片も惨めでない人間など、この世の中にはいない。

毎日嫌なことをされていても、やはり遠くの手紙をくれたあまりよく知らない女の子のことなどを思い出して、好きだなと思う。

けれども、こんなに熱心に君たちのことが好きなのに、ある日突然それらが全て今まで読んでいた本の中の、つくりものの話のように思える。僕は、本を閉じないように気をつけて生活をしなければならない。そして素晴らしい出来事を言語化して本のように読み下さなければならない。それを養分にしてぼくの頭に生えている不細工な広葉樹は育っている。

仮にこの植木鉢がうまくいって、どんどん大きくなって金星まで届いてごらんよ。僕は絶対に君たちのことを想うよ。まるで昔読んだ本のあらすじを思い出すように。くだらないだろ。はやくみんな遠くへ行けよ。二度と僕のことを思い出さないでくれ。